マトリックス・トゥルーマンショー・ビューティフルドリーマーなブレードランナーのいとこの未来世紀ブラジルの息子のメガゾーン23の親戚のトータルリコールのお向かいの……といえばSF好きにはなんとなく「なるほど!」で話が通じてしまうタイプの話。封鎖された街、記憶のリセットなどなど、私には大好きなモチーフ満載の作品。
これが90年代末(『ブレードランナー』の16年後、『マトリックス』の2年前)に作られたというのが信じられない位、懐かしい香りのする、いっそ恥ずかしくなる位直球勝負の真っ当なSFです。マジですか!?マジで最近の作品なんですか?
SFなんだぜ!そのつもりで見ろよな!という本気勝負の表われなのか、編集上の注文だったのか、信じられない位陳腐なナレーションが冒頭に入ります。あれがなきゃ、しばらくはディック風現実認識と架空現実の境があいまいになるサスペンスとして、別の面白さも加わったと思うのですが…。そのナレーションの後、いきなり主人公が目を覚まします。自分の記憶がなくなっていて、床には女の死体。娼婦の連続殺人事件の犯人として追われながらの主人公の自分探しと、閉じ込められた街の謎探しが始まります。でもネタの大部分は冒頭で明かしてるから、惜しい!
「そういえば朝はいつきたんだろう」気がつくと街はいつも夜。タイトルまんまにダークなシティなのです。その暗いムードの中で救いとなるのが、ポケットの絵葉書と記憶の中にある青い空と青いビーチ。なぜか誰も行き方が思い出せず、電車に乗っても、乗り間違えたり急行が止まらなかったりと、どうしてもたどり着けない「シェル・ビーチ」。唯一冒頭でネタばれされてない(笑)物語の吸引力でありヒキですね。
ビジュアルも(好みなんだが)笑っちゃう程古いセンスの『メトロポリス』の底辺。モノクロのドイツ映画セット的雰囲気で話は進む。(でもセット的なのは、ある意味仕掛けでもあるんですよね。)お金はかかっているらしいんだけど、大変チープでレトロでB級な、とてもアメリカ映画とは思えない70〜80年代のヨーロッパSFのような雰囲気。でも真面目に丁寧に作っている姿勢は伝わる、不思議な作品。しかし解決の仕方にひとひねり欲しかった。ネタとして(レトロだけど)大変面白いものだし、マニアックにならずに丁寧に解き進めていたのに、突然大友系の超能力バトルが〜〜。直立不動の前のめりの姿勢で、宙に浮きながらグワー!の力押し解決。あれさえなければ傑作印をつけたのに。(いや…他にも魅力的な設定をぶちこわしてB級にしている要因はあるんですが(宇宙人の底の浅い設定とか)、それが多すぎて、逆転愛しい感じになっている。)
真面目なシーンなんだけど、何度も繰り返される街のモーヴィングがなんだか可愛く、「きのこっの子〜のこ元気のこ〜♪」と思わずCMソングが頭をよぎりました(笑)。(これって全国区CM?)
監督:アレックス・プロヤス。出演:ルーファス・シーウェル、キーファー・サザーランド、ジェニファー・コネリー。1998年アメリカ作品。
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