つれづれ電影館『あ』行


....... 2001年02月22日 (Thu) .......

 
『エリン・ブロコビッチ』
『ジュリア・ロバーツin〜〜』なんてタイトルのつけ方から見て、もっとお色気見世物の軽い映画かと思っていました。おっとびっくりの真面目で地味な映画です。しかし派手さはなくとも、飽きさせず面白い1本でした!これはけっこうお勧め!実話ということもありますが、ジュリアが出ていなかったら、本当に地味なドキュメンタリータッチになってしまったかも。逆にジュリアの存在だけでハリウッド映画になりえた、スターとか華とかの存在を再認識させられる作品でもありますね。

アメリカの大企業から史上最高額の和解金3億3千3百万ドル(日本円で約350億円)を引き出した実在の女性エリン・ブロコビッチの実話です。元ミスコンながら離婚歴2回、3人の子持ち、無学無職、預金残高16ドル。そのうえ車をぶつけられ怪我まで負い、どんぞこ状態で潜りこんだのは先の交通事故の裁判で知り合った弁護士の元。地味な書類整理をこなしているうち、ある一件の小さな訴訟問題にひっかかりを感じた彼女は、独自の調査で、それが大規模な企業の公害問題であることに気が付きます。周辺住民が深刻な健康被害を受けていることに、自身らが気が付いていないことを知り、自分の事務所のボスをたきつけ、大企業に闘いを挑むことになるのです。
裁判もその過程も、決して派手なものでなく、足を使って地道に調査を続け、住民の信頼を得ていくエリンの姿が描かれます。1件の家の買い上げ問題から、634人の住民を原告とする訴訟団をまとめ上げていくのです。その間、母親としての子育ての問題や、主夫として彼女を家庭で支えてくれる男性との、仕事との間で揺れ動く恋愛感情も折り込まれ、ガンバル女性の姿には、思わずエールを送りたくなります。

単なる正義感や名誉欲でなく「学もない自分の話を、聞いて尊敬して、頼ってくれるの。こんなこと初めてなのよ」だから、答えたいし助けたい。そんな思いがあふれているから(引くに引けなくなった部分もあるでしょうが(笑))、ただの痛快サクセスストーリでなく、激しい気性とナイスバディなエリンにも反感を持たず、気持ちよく見ていられるのかもしれません。
実話の重さを感じるのは、この訴訟、裁判で勝つ訳ではないのです。逃げる気か!闘おう!といきまく住民との間で板ばさみになりながら、裁判だと10年15年とかかる事を知り、和解で治療費を引き出す方を選ぶ葛藤や、相棒であり理解者でもある弁護士のボスとの交流もなかなかにいい。勝利のシーンを誇張して見せ場とするのでなく、それを聞いて涙する住民や、周辺の人々の心の交流の方を描こうとした所が、よくある裁判物などに収まらない心地よさと好印象を残している気がします。

そしてなんといっても負けないエリン=ジュリアのきっぷのよさとかっこ良さ。爽快感のある映画です。

*ソフトの方に時間の問題で切られたという未公開シーンが15分ほど収録されています。これが、本編の方でちょっぴり物足りないと感じた部分がフォローされていて、脚本段階ではしっかり書かれていたんだなあと思ったものです。

監督:スティーブン・ソダーバーグ。出演:ジュリア・ロバーツ/アルバート・フィニー/アーロン・エッカート/2000年アメリカ作品。


No.(35)

…つれづれ電影館TOPへ