今まで何千本も映画を見て、つまらないのやとんでもない物に当たりながらもそれなりに楽しんできたので、本気で怒るという事は、まったくといっていいほどなかったのですが、この映画はムカツキのツボにジャスト当たりしてしまったようです。 も〜〜〜腹立った!最悪。見終わったあと本気でちゃぶ台ひっくり返しそうになったのは初めてです。目の前の机、足で蹴り上げそうでした。映画館なら、チケット売り場のガラスに拳をつっこみたくなるような破壊衝動にかられましたよ。映画がクソだとか、つまんないとか金返せとかそういうレベルではないのだ。なんというか、理屈じゃなく、腹の奥から煮えくりかえる衝動ってめったにないですよ。誰かが「ジョーク」と「ふざけること」とは違うと言っていましたが、まさにそんな不愉快な映画でした。「どんな物にもそれなりの面白さがあって、それが私に読み取れないだけかもしれないし…」と、ひよりがちなコメントの多い私ですが、他人が何と言おうと胸を張って自信を持って最悪と言える映画は初めてです。
もうこの映画に関しては、『良心的にみると〜〜』とか言いたくもない。きっと良心的に『プライドが高く孤独でその事にも気付かなかった人間が、極限状態に追い込まれることで、本当に大切なものに気付き、過去のトラウマを乗り越える』という普遍テーマの、ちょっと設定が特殊な話だと解釈する方も一杯いるだろうし、本当はそういう映画なのかもしれませんが、私はこの映画の方法でそれを認めたくない〜。そんな単純なテーマは冒頭数分で見えるしね。その更に奥の深い所?ブラックなパロディ精神?そこまで善意で気配って読み取る必要を感じない。ただ最後までどたばた面白がらせたい監督のご都合主義な「ゲーム」なんでしょ?と悪意で切り捨ててしまいたくなる。
現実と仮想現実の境が曖昧になっていくという話、どれがゲームか分からなくなっていくゲーム、という発想は、そのネタを聞くだけで大好きなんですが。でもこれがホント、これもホント、全部ウソのようでやっぱこれがホント〜〜のようでウッソ〜、と思ったでしょう、ホント〜とくどくど何度も繰り返されると、すべて予測できるし、すべてドンデん返しになるのも予測できて、あとはどこで止めるかだけの問題になってきます。なんでもありでサスペンスですらなくなっていく。もうドキドキ推測するのにも疲れて、何も信じられない思考停止状態に陥り、そのまま放り出される。はい、目をさまして〜の掛け声のない催眠術に、騙されてかけられたまま置いていかれたような感覚。エンディングロールの最後の最後まで待っちゃったよ。『オープンユアアイーズ』とかいう落ちがあるんじゃないかと。いっそすべてが夢オチでもその方が気持ちよかったです。
夢中で見てたからこそ、むかつくんだろうと言われればまさにその通りで、それだけパワーのある映画なのは認めるんですが、なんというか気持ちが悪い!主人公があれをハッピーエンドだと思っているのだとしたら、悪質な新興宗教か自己啓発セミナーに入会して目を閉じたままにこにこ幸せそうにしているのと、なんら変りない気がします。もう自分の意思では抜けられない、抜けようとも、もしくは入っていることすら、もう意識していない。本人は救われたと思い幸せなんだからいいじゃん。おめでとうおめでとう!まさにそういう変な世界だよ。気持ち悪いよ〜怖いよ〜(><)。
人の神経を逆なでするのがフィンチャーの持ち味と言われ、実際『セブン』はその逆なでられ具合を楽しめたのですが(というかむしろ好き)、これはいただけない。『ファイトクラブ』がギリギリ微妙な所だったので、次に続く作品が、私にとってまた次を見るか、もうフィンチャーは避けるかの、試金石になる気がします。あ、『パニックルーム』か。まだ見てなかったから見ておこう。…映画をここまで嫌悪したのは初めてだわ。…違う、映画をここまでただの手段のように使った事に嫌悪してるんだ、たぶん。
(ここまで読んで下さった方が、何がどうそれほどなの!?と興味を持って見たとすると、きっとどうという事はないじゃん?と思うだろうなーとは思います。何か私の変なチャンネルにカチっと合ってしまったとしか言いようがありません。これ結構世間じゃ評判がいいようですが、これがみんなが面白がる作品なのだとしたら、もう私は他人を面白がらせる漫画は書けないのかもしれんと自分の感性に疑惑を抱く程、ショック。)
監督:デビッド・フィンチャー。出演:マイケル・ダグラス、ショーン・ペン。1997年アメリカ作品。
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