サイコスリラーかと思っていたら、真面目に正統派サスペンスでした。実に丁寧に真面目。真面目すぎて最初は不眠症の主人公と一緒にうとうと眠くなるほどです。『メメント』の監督なので、どんな物が飛び出すかと思っていましたが、真っ当な作りも出来るんだぞ、という事で。何度も見るうち、スルメのように味が出てきて、それなりに面白いなと思うようになりました。
白夜のアラスカで起こった一件の殺人事件。やってきたベテラン刑事アル・パチーノは、夜のない町で不眠症に悩まされるが、実は眠れない理由はそれだけではなかった。葛藤しながら事件を追ううち、誤って仲間を射殺してしまい、さらにドロ沼に…。 不必要に説明せずに主人公の心情を著わす、ロケーションの選び方と設定が、うまいですねえ。それなりによく出来た作品だとは思うのですが、サスペンスなのに主人公の精神的な葛藤と内面に重点が置かれているため、どうにもどっちつかずの底が浅い印象があります。もちろんその葛藤が関係ない描写ではなく、犯人につけいられる要因にもなっていくのですが…。あのネタ(主人公の葛藤)だけで1本の映画を押すには、ちょっと無理があった気がするなあ…。もしくは描き方がいまいちなのか。犯人もせっかくロビン・ウィリアムズなのになんだか小物だし。 ずばぬけた印象はないけど、ロケーションの新鮮さもあいまって独特の雰囲気はあるので、トータルとしては及第点な気がします。でも何年かたったら忘れそうな映画でもあるなあ。ラストは漫画オチのようで笑いかけて、あ、マジだったのか、と思いました。失礼。
『メメント』でもそうでしたが、この監督はもしかして、きっちり物語の裏の骨子を組み立てるのがそれほど得意ではないんでしょうか?(編集であっといわすとか、雰囲気で流していくとか…。発想はいいのに「事件」としてのプロットが、思いつきのようにとても薄い。事件自体を描きたいわけじゃないんだろうな、という作りは分かりますが、そこをあっさり流してしまうと全体的に底が浅く見えるんですよね。)もしかして殺人などの大きな事件のいらないヒューマン物とかでいきなり開花したりして。
監督:クリストファー・ノーラン。出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ。2002年アメリカ作品。
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