うーむ。よくあるアメリカの陰謀作戦系の印象は拭えず。だが面白かったし、よくある中でも頭ひとつ飛び出したように感じるのは、監督のうまさでしょうか。(陰謀物アクションならお手のもの?監督は『クリムゾン・タイド』や『エネミー・オブ・アメリカ』のトニー・スコット。)
独自の危険な作戦に失敗し、中国政府に捕えられた、ブラピ演じるCIAスパイのビショップ。処刑は24時間後。CIAの上層部がビショップを見殺しにするつもりなのに気付いた元上司の腕利きスパイ・ミュアー(レッドフォード)は彼を助ける為に、CIAをも罠に掛けた作戦と交渉を展開する。 時間制限のあるノン・ストップ物、中国、香港、ベトナム、ベイルート、そしてワシントンとめまぐるしく変る背景。…なのにこれが地味でいい感じに渋い。なぜって2時間ちょっとの上映中ほとんどの舞台がなんとワシントンのCIAのミュアーの卓上で展開するのです。二人の出会いや交流をうまく間に回想としてはさみながら、彼が建物の外に出るのは、ほとんどラストのみ。現場に出向くことなくもっぱらハイテクと頭脳と度胸を使った巧妙な知能戦。CIAはこうでなくちゃな(笑)!ヘリに載って機関銃ぶっぱなしにいったりするCIAばかりじゃダメですよ(笑)。スパイなんだから(笑)。
『おまえがヘマをやらかしても、俺は助けたりしない。スパイってのは非情な世界なんだ』と後輩ビショップを仕込んでいたにもかかわらず、名誉な退職の日に、組織を裏切るともいえる行動に出るレッドフォードが熱くてかっこいいです。ビショップもまた情を捨て切れず、人間味を大事にしようとするあまり危険な行動に出てしまう訳で。2人とも、映画の現実の時間軸では遠く離れて一度も会うことがないまま、一言の暗号(作戦名)でお互いの心情を理解しあうあたりが、なかなかに漢(とかいて男と読む)でよいですねえ。実際に師弟関係にあるブラッドとレッドフォードの関係がダブります。
刻々と過ぎてゆく時間の描写など、ちょっとかっこつけすぎ?な演出もありますが、全体としてクールな控えめな印象でよし。ありきたりなアクション映画に食傷気味の方に、お勧め。ブラピもスターとして出張らず、普通の好青年を抑えた演技で演じていて可愛いです。ベイルートの舞台や建物が個人的にラブ(ロケはモロッコ。リドリーの『ブラックホークダウン』といい、兄弟そろってモロッコで爆破爆破(笑))。
監督:トニー・スコット。出演:ブラッド・ピット/ロバート・レッドフォード/2001年アメリカ作品。
No.(58) |
|