トラウマというものの恐ろしさ、それがなにかのきっかけで目覚めたときの、根の深さ。 「スリーパー」とは少年院を出た者をさす隠語(スラング)です。4人の少年が、少年院で受けた虐待と恐怖の復讐を、大人になった後に果たす物語です。
豪華キャストということで注目されたがために酷評を受けているようですが、その点についてはそれぞれの見せ場を売りにしなかったことを大いに評価したい。予定調和的ではありますが、しっとりと地味に仕上げた所を、私としては気にいっています。雰囲気的には、大人のダークな『スタンド・バイ・ミー』的作品。
好きではあるのですが、しかし手放しで評価するにも躊躇のある微妙な1本。全体的なバランスが、どうにも座り心地悪く感じるのは前半が長すぎるせいでしょうか?後半の陰湿ともいえる復讐劇を感情として正当に見せる為とはいえ、少年時代の描写が散漫に長すぎる気が。 あと、トラウマという心に受けた傷はいやしようがないのだ…とは理屈では分かっていても、「あんた達もう真面目に立派に大人になって生活してるのに、なんで復讐なの?」とどうしても思ってしまうせい。後半、法廷物として有罪を無罪に反転していく知能ゲームになるのですが、その復讐という名の闘いに勝った瞬間も、爽快感はありません。物語としては一番の盛り上がりとなるハズの部分も、主人公達が「これでやっと明りを消して眠れる」「過去を見ずに静かに暮らしたいんだ」という消極的な未来を語るおかげで、やはり後から蹴りをいれたい気分にさせられるんですね。
彼等の心を救うためにと、父替わりでもあり友人でもあった神父さえもが、法廷で神に背いて偽証をします。復讐は、彼等を救ったようでいて、誰もが新たな罪を背負っただけにすぎないのです。友情という名で隠された、共犯と連帯。 子供の頃に受けた傷は、それほどまでに人間を弱く小さくさせるのだ…という、影のテーマともいえる告発が、どうにも重い。ここには希望がない。それが、素直にこの映画を好きといえない一因なのでしょう。
監督・製作・脚本:バリー・レビンソン。出演:ロバート・デ・ニーロ/ケビン・ベーコン/ダスティン・ホフマン/ブラッド・ピット/ジェイソン・パトリック/ブラッド・レンフロ/1996年アメリカ作品。
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