つれづれ電影館『さ』行


....... 2001年07月25日 (Wed) .......

 ■『処刑人』
いや、面白いっすよ!かなりアホで。私は好き〜!
邦題が悪すぎるせいで、ありがちなハリウッド風アクションだと思っていたら(ほら、『追撃者』とか『狙撃者』とか、そういうのちまたに溢れてるから〜)すごいチープな愛すべきB級映画!いや、実際には金もかかっているのかもしれませんが、そういう印象なのね。初期タランティーノとかロドリゲスとか、ヨーロッパの『ドーベルマン』とか、あっち系。履き違えた劇画っぽい…もとい同人っぽいカッコよさというか。
映画としてダメダメだという風評も聞きますが、これはもう内容がどうのとかテーマがうんぬん言うより趣味の問題だと思うので、好きな人だけ見ればよろしい!という感じ。映画的にどうかという映像感覚の評価はさておき、ビジュアルもなかなか萌えポイントですね(笑)。教会のミサから始まり、黒いPコートにロザリオ、祈りを口ずさみながら銃を構える美形?兄弟(笑)。ほんと漫画だなあ。これをクールにストイックに作れば、また全然別の作品になりそうなテーマを含んだ作品ではあるのですが。

内容は、『悪を滅ぼし、善を栄えさせよ』と神からの電波を受けた兄弟2人が、神にかわってお仕置きよ!と街のゴミ掃除をする話です。このゴミ=悪人達がまた、街のマフィアなどわりと規模が小さい所がなんとも愛しい。そして仕置き人の兄弟も、決してエキスパートな殺し屋などではなくまったくの素人で、運と偶然だけで次々と神のおつげ(電波)を実行していくのです。これがまた、中指立ててデタラメや!と叫びたくなるようなデタラメアクション。
しかし、すわマフィアの抗争か、連続殺人事件か、と捜査を続けるFBIは混乱。そりゃあ常人には理解不能でしょう、勢いとデタラメで進行する殺しを推理するのは。だけど、一人の捜査員がその電波シンパシーを理解してしまう。こいつが兄弟を正しいと判断し、助けようとしたおかげでますます話は混沌に(笑)。

ストーリーのデタラメさを補ってあまりある(いや、補ってない気もするけど…)のが、キャラクター達の魅力。(キャラが立ってりゃ、どうにでも面白くなるのよね〜!というあたりもまた漫画的(笑))兄弟2人もカッコよく仲良く、いちゃいちゃしててたまらないんですが、なんといっても特筆すべきはホモのFBI捜査官役ウィレム・デフォーの怪演というか、はじけっぷり。殺人現場でオペラやクラッシックをバックに踊り、イっちゃいながらプロファイリングをするあたりなんかは、『レオン』のゲイリー・オールドマンを彷彿とさせますが、アホ度で一枚上手(笑)。本気でノリノリとしか思えないような女装も必見(笑)。

ずっとデタラメテイストに話は進みますが、ラストでおやっと思わされます。法で裁けない、裁いても法のすき間や金の力で結局は野放しになる悪人共。そんな連中を退治していく彼等をどう思うか。『天使だよ』『俺もずっとああしてみたかった!』という人もあれば『だからって人が人を裁いていいわけがない』という人ももちろんいます。千差万別な街の街頭インタビューをドキュメントタッチに流しながら、主人公達には結論をあたえないまま映画は終わります。そういや冒頭には「一番怖いのは、無関心という一般の人の心です」というミサのセリフもあったしなあ。あのラストをどう考えるか否かで印象は変ります。う〜ん。(いじわるに解釈すれば、本当はただかっこいいの撮りたかっただけで、倫理的に問題ありそうなんでラスト取ってつけた…と思えないこともないんだけど(笑))

しかし本当に邦題はよろしくないですな。原題は『The Boondock Saints』、まあ「暴れんぼう聖人」とか「荒くれ使徒」とかそういうニュアンスです。宗教感の薄い日本人には分かりにくい感覚ですが「人の決めた法と、正しく生きる者が幸せたれという神の声、どちらが正しいのか」などというテーマを半分ちゃかし気味にブラックにですが扱っているので、そのニュアンスは残して置いて欲しかったなあ。「処刑」では法の意味合いを含んでしまうのでは。

蛇足:私的には冒頭の便器投げで、もうなんでも許す気になりましたよ(笑)。あのシーン大好きさ!

監督:トロイ・ダフィー。出演:ウィレム・デフォー / ショーン・パトリック・フラナリー / ノーマン・リーダス /1999年カナダ・アメリカ合同作品。

No.(51)

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