今さら説明も必要ない程に有名になったジェームズ・キャメロン監督の大作です。泣かせてもらうで!と意気込んでいってしまったが為に、辛めな見方になってしまって残念。大作なのは予算の大きさなのか、セットの細密さ&でかさなのか。壮大なセットに彩られた、大変シンプルなメロドラマです。
タイタニックの悲劇をじっくりと再現しようとした監督の心意気はわかるのですが、肝心の、そこに乗っていた人間達のステレオタイプなドラマの薄っぺらさは、悲劇をただの数にしてしまったようです。まわりで何人死のうとも、メイン3人のメロドラマの彩りでしかありません。「感動のドラマ」ではなくパニック映画と分類したい気持ちになりますが、それとてどうしても『ポセイドン・アドベンチャー』などを思い出すと、のっぺりとしたパニックに感じてしまうのです。そこに生死を前にして切迫した、人々のタペストリー的なドラマの交錯がないのです。(でも子供なんかが見たらこれ結構怖い恐怖映画なんでは…(笑)トラウマになったりしないか?(笑))なので見方を変えてみました。
初めて劇場で見た時は、ヒロイン・ローズちゃんのあまりのたくましさにポカンとしておりました。あの女性のたくましさはさすがキャメロン。2度目も、なんだかしっくりこないというか、永遠の愛〜とか言われると笑ちゃう〜このまま2人生き残ったら、幸せになったかどうかわかんないヨ〜?などと覚めた目で見ていたのです。 何度も何度も見ているうちに、これはあくまでヒロインの目線での事件なのだと思うようになりました。思い出が美化されていくのは当然の事。しかも名を変え過去を捨て、女一人での再出発に、この思い出はとてつもなく強く彼女を支える大事なものであったはず。彼女が人生の最後に、初めてその思い出を語ったのだと思えば、それは甘くて当然なのです。周りはその他大勢で見えてなくてもいいのです。最初にシンプルなメロドラマと言ったのはそのせい。タイタニックの悲劇の大作でなく、ローズちゃんを支えた人生の思い出語りなのです。 そしてそう思うことで、暖かい目で楽しく、この映画を鑑賞出来るようになりました。そして「よくがんばったな〜ローズちゃん!」と涙腺に来るようにもなったものでした(笑)。冒頭、そしてラストで、海の底で朽ちたタイタニックのテラスから、すうっと過去の華やかな思い出に戻っていくくだりも、タイタニックだと思うから壮大に感じますが、実にオーソドックスな彼女の心理描写なのですね。
という訳で、今は穏やかな心で見ることのできる結構好きな作品となりました(笑)。なんだかんだいってすごい回数見ているようです(笑)。ドラマ自体は平坦なので、何度かけっぱなしていてもさらっと流せて飽きないし。(しかしラストを見る度「学校の怪談4……」とつぶやいてしまうのですが(笑)。) でもさ、タイタニックという豪華な装飾がなかったら、あまりにチープなドラマすぎやしませんか?豪華な部分が見所の映画というのも確かにあるので、それはそれでいいのですが。
監督:ジェームズ・キャメロン。出演:レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット/1997年アメリカ作品。
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