つれづれ電影館『さ』行


....... 2003年06月記す .......

 
『ゾンビ「DAWN OF THE DEAD」<ダリル・アルジェント版>』
ロメロ版3部作といわれる、本家本元のゾンビシリーズの第2弾。
古くてもちゃちくても、魂のある映画は面白い。
登場するゾンビ達には魂がないのに、なんと皮肉な事でしょう。
ゾンビ達が人間を襲うホラー映画でありながら、それは状況に過ぎず、もっとも恐ろしいのは生きた人間であるという、これまた皮肉。

このシリーズには、理由がありません。いや、ない訳ではないのですが、それは必要最低限にサラリと語られるだけ。
とにかく死んだ人が、死んだまま歩いて襲ってくるのです。
何で!?とか言っちゃいけない。とにかく逃げなければ、自分もゾンビになってしまうのです。
このシリーズが、後に作られる数ある凡作のホラーゾンビと違っていつまでも伝説となっているのは、理由と結果をさておいて、そこに残された人間のサバイバルを醜いまでに執拗に描いているからでしょう。
「状況に過ぎないゾンビ」は、今見るといっそ愛らしいほどに、のんきでのろまで牧歌的ですらあります。生前の執着にしたがって、うろうろとショッピングモールを歩くゾンビの、平和そうなことといったら。
そのゾンビ達をなぎ倒し追い払い、生き残った数少ない人間達は、そこをつかの間の安住の地とします。しかし、その小さな平和をぶち壊すのも人間。
食料を食い、生き残らなければいけない人間の争いの、なんと恐ろしく醜く見えることか。でも生があり、感情がある人間は、それを守る為に戦う。それがいいか悪いかなんて誰にも決められない。
そこにはいろんな暗喩がこめられています。決して単なる「ホラー映画」という枠でくくられる作品ではない。
(この人間の極限を書き出すのに、過去の戦争等でなく、歩く死体(リビング・デッド)という設定を考え映画化してしまった人達に、ある意味喝采。もっと社会派な評価の得られる方法もあったろうに、何考えてんだ!?とも言いたくなります。いやそこが素敵なんですが(笑)。)

ダリル・アルジェント監修版は、人間達の関係と感傷をサクサクと切り捨てた大変クールなバージョンです。
印象に残るのは、牧歌的なゾンビと、誰もいない真昼のショッピングモールに鳴り響く間の抜けたヘンな音楽。そしてゴブリンの妙にかっこいいBGM。
大変特殊で、激しく問題作なのは確かです。
ホラーとしてではなく、問題作として一度は見る価値ありな映画だと思います。


ちなみに、この映画が好きな理由に、私が海外のショッピングモール好き、というのもあります(笑)。
買物が好きなのではなく、ああいう中央拭きぬけ構造のモールって大好きなんですよ。


監督:ジョージ・A・ロメロ/出演:デビッド・エムゲイ/ケン・フォリー/1979年アメリカ・イタリア合作作品




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