これは感想が難しい。正直いって飽きはしないが面白くなかったのです。
ロマンティックで壮大な歴史大作かと思いきや、主人公が一人、スケバン刑事・麻宮サキ(原作版)のようなスペクタクル大活躍をする話に、しばしどう反応していいのかポカーンとしてしまいました。
…いろいろと重いテーマもあり、よい映画だとは思うのですが、どうにも<テレビで1年間放映していた大河ドラマの2時間総集編スペシャル>を見たような印象が拭えません。
「毎回毎回いろいろなテーマや山があり、連続ドラマの中では何度も泣かされたが、まとめて一気に見せられると薄くなっちゃう。」という感じなのです。
原作が小説なのは聞いていますが、もしかして新聞連載小説とかだったのでしょうか?とてもそんな雰囲気があるのですね。
(一難去ってまた一難!危機に次ぐ危機!何度も現われる協力者!といった展開が…。)
軍隊のエリートコースに在籍し幸せな結婚も決まっていながら、いざ出陣となると戦争の愚かさや、荒れ地を占領する意味、そして恐怖にさいなまれ除隊してしまう主人公(ヒース・レジャー)。
3人の親友と婚約者から送られたのは、臆病者の証といわれる白い羽。
しかし、自軍の戦死者の名前が次々と伝えられる中、彼は国の為ではなく、友を救う為に白い羽を懐に抱いて自ら戦地に飛び込んでゆく…。
……という骨子なのですが、結局彼の取った無茶な行動が、友人を助けたいのか(友情)、臆病者と言われ送られた羽をつっかえしにいきたいのか(プライド&意地)、愛は結局どうでもいいのか、殺し殺される闘いの愚かさが嫌だったのではないのか(その割には生き抜く為容赦なく殺してる)、などと彼自身微妙な感じになんだかユラユラしているので、見ているこっちも座りが悪いのです。
実際人間なんて一つの理由や理想だけで動く事なんてありえないと思うから、それでもいいとは思うのですが、映画を作る側は、あれもこれもと悩んでちゃいけない気がするのですよ。
作っている人間は彼(主人公)の行動を理解しておかないと。
主人公だけでなく、他のどの登場人物もなんだか思想が見えず、都合よく動きます。
要は、本当に最終的にいいたい事<テーマ>が絞りきれていないのではと思います。
これは脚本が悪いのではないでしょうか。
撮りかたも、絵としてのかっこをつけすぎて、誰の感情も見ているこちらにぐっと伝わってこない。
(それに、混沌とした人間の弱さを語る程には、文芸作じゃない所が悪い意味でミソ。高尚なフリをしたアクション映画に見えなくもないのだ。)
しかし飽きる事はないし、映像はなかなかスペクタクルで壮大。見応えはあります。
砂漠に行ってからの精悍なヒゲ・レジャーは大変格好良い。サッパリとした英国紳士に戻った時にはちょっと残念な程でした。(稲垣吾郎似。)
そして、さすが本場イギリスの友情!
香港映画のように間違った友情裂烈しまくりです。
あんたらそれは友情なんか!?戦場に行っていなかったら『アナカン』や『モーリス』じゃないのか!?
主人公が除隊届けを出しにいく朝、着替えて正装をした彼の横で「おまえになら命を預ける」などと言っていた親友が眠っている図には、かなり「おいおいおいおい」とか思いました…。
いや別に萌えてる訳でなく、友と飲み明かしていたという状況なのは分かるんですが。なんだかこう「おまえの為なら…」とか熱く見つめて語った後場面転換していたり、まったりとした描写がどうにも濃厚。
手と手が触れ合ってみたり全身で抱きしめて庇ってみたりと、日本人には気恥ずかしいものがありました。
というか、正直撮り方がイヤラしいのよ〜!(ごめんなさい…でも萌えではない。)
もう『ロレンス』みたいに、いつヒゲレジャーが「かわいい白人め」とか言われて犯されるのかと、ハラハラしてしまいました。
(注:されてません。少なくとも画面の中では…。しかしむしろこの作品のテーマ的には、真面目な話、逃げずにそういうシーンがあった方が自然かもしれないと思います。プライドも何もかも無くしてボロボロの主人公に友人が涙するシーンがあるのですが、なんだか綺麗事っぽく、彼の堕ち方が足りないのですよ。)
もう少し、どこか極端にバランスが悪かった方が、愛せる面白い映画(それはそれでなにか間違っているけれど)になったかも、となんとなく惜しい作品ではありました。
監督:シェカール・カプール/出演:ヒース・レジャー/ウェス・ベントリー/ケイト・ハドソン/2002年米英作品
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