リメイク版『ゾンビ』です。
アメリカ公開から半年以上空くなら、向こうに見に行っちゃうぞ〜という位楽しみにしていたので、なにはともあれ見ることが出来て満足満足。(実際には約二ヶ月のズレでした。)
オリジナル版と比べたら、きっと深みは減るだろうというのは予想の範疇でした。
オリジナルの文明批判やまったりとした終末観は、(そこが好きなんですが)裏返せば映画としてはテンポが悪かったり、眠くなりがちな部分でもあったので、きっと時代的にもそうはならないだろうというのは容易に想像のつく所です。
ということは。
ゾンビ走る!!
何から何まで、スピーディーなアクションホラーになっておりました。
深みや余韻はオリジナルほどなかったけれど、比べるといろいろ言いたくなるけれど、これはこれでそれなりに面白かったから、私はOKです。
冒頭からしばらくは、音での脅かし(しーん…と緊張させておいてギャン!でも何にもなかった〜という感じのアレ)が多く、品がないからやめれ、という気分になりました。が、そもそもゾンビで品も何もあったもんじゃなですね。
しかし後半、もう脅かされている余裕もないぐらいに、凶暴な死者が猛ダッシュの物量攻撃で襲ってきます。もう心理的なホラーも余韻もあったもんじゃないです。しかしこれがなかなか、オリジナルとは裏返しの恐怖となってくる。力押しの恐怖。うわー!ぎゃー!もう駄目だ〜!という追われる物の、動物的な恐怖です。
作中の登場人物に自殺者がいないのがむしろ不思議なくらい。見ながら「私だったらどうすっかな〜。いっそさっさと死んじゃった方が楽かな〜。でも根性で生き残れば何かいいことがある場合もあるしな〜」ともやもや思ったものでした。
そこを脱出したからといって終わりではない、という想像力による先のない破滅感や恐怖は、この映画でも感じられたと思います。
ところで、宣伝でもパンフでも、やたら「感染」「感染者」と言われてますが、映画の中では特に断定されてはいないです。リメイクにあたってもっとも懸念していた部分がそこだったので、とりあえず曖昧に訳のわからないままにしたのはよかったです。もっとも、「感染源が〜」というようなセリフはありましたが。『28日後…』みたいにストレートに「凶暴化ウイルスだ!」なんてネタじゃなくてよかった。
『28日後…』といえば…。嫌いではないんですが(ソフト買っちゃう位には好きです)あの映画をもっとも安っぽくしていた要因に、映像畑出身の人がやりがちな、ストロボ調コマ落とし映像みたいなのがありました。専門用語は分からないですが、人間を襲う連中が出るシーンになるとコマ落としになり、全貌がわからないまま雰囲気で迫力を出そうとする演出が多用されていた事に、ちょっとげんなりしたものです。
『ドーン〜』でも、後半の後半になって、迫力のテンポアップのネタが尽きたかのように、突然この演出がたて続けに出てきて違和感を感じました。冒頭からタイトルロールが出るまでの撮り方など、ゾンビだからといってB級調に走ることなくじっくりとサスペンス調に描かれていただけに残念。
ラストは、エンドロールになっても席を立てないような工夫がされていましたが、あれはちょっとしつこかったかも。『王の帰還』のサム落ちは大賛成ですが、この映画はアソコで切れと。(なぜこんな例えを出したかは見れば分かると思います(笑)。)
もしくは、オリジナルよろしく、例のセリフで締めて欲しかったなあ。(こればっかりはオリジナルを引き合いに出したくなる。)
登場人物の人間描写はいまいちでしたが、主役のサラ・ポーリーは大変かわいかったです。
人間関係では、銃器店のアンディのラストプレートを掲げるシーンが一番好きかな。あそこは、残された人々の心境を考えると、とても切ないシーンでした。
もっとも笑ってしまったシーンは爆発シーンの<ゾンビドミノ>。
意外とゴアシーン(残酷描写)は少なく、人体損壊的な生理的嫌悪感を煽る描写は、ゾンビにしては少なかったように感じます。本当に追われる恐怖、に特化していたような気がします。
大好きなショッピングセンターが、ただの立てこもり砦になっていたのは惜しい!あそこは封鎖空間の一時の楽園であり、ゾンビ達を引き付ける、死してなお執着を生む舞台。ある種の生き物的な舞台の生生しさを、もうちょっと表して欲しかった!
監督:ザック・スナイダー 出演:サラ・ポーリー/ヴィング・レイムス 2004年米作品
|
|