つれづれ電影館『た』行


....... 2004年10月記す .......

 
『デビルマン』
往年の名作漫画が今頃になって突然の実写映画化。
予告を見て抱いていた嫌な予感が想像以上に突き抜けていて、いっそ素晴らしかったです。
あまりの事にまったく目が離せず、ラストまで一気に大変な緊張感を持って鑑賞しました。
これはこれで、話題性という意味では滅茶苦茶面白かったと言えるかも知れません。友達4人と徹夜で語り明かすぐらいにはインパクトがありました。ある種のお友達には絶賛オススメ。

アニメよりは原作に忠実に映画化、という意欲だけは判る。確かに出てくるシーンだけを見れば、ああ永井チックだなと思うんですが、脚本も演出も役者も、何もかもが中途半端というか踏ん切りが足りないせいで、永井豪のブラックユーモアがまったく伝わることなくただの突拍子も整合性もない突っ込みどころ満載のシーンの羅列に見えます。
友人いわく、前後を考えないで、ただ漫画の1コマ1コマ(シーンですらない)をコラージュしてつなぎ合わせて「原作に忠実」とか言ってるようなもんじゃないか、という説に一票。
テーマを伝えるために<デビルマン>という素材を使うのか、ただその絵(ビジュアル)を映画として撮ってみたかったのか、その見極めすらついていないような中途半端さが、内容ではなく映画そのものを無残にしてしまっているように感じます。

(そういう意味においては、私は同じカテゴリーでも『キャシャーン』の方を支持。映画としてはトホホな面もありましたが、監督(作家)が何を表現して何を伝えたいのかという面ではビシバシ電波を受信しましたから。(単にこだわり、とも言うけど。やりすぎて失敗するパターンも多いとは思うけど。)何がやりたいのかわかって、そこに向かって作られた物は出来不 出来や好き嫌いはともかく、気持ちいいものです。この辺の見方は、純粋な映画ファンとしてではなく私の職業的な物もあるかとは思いますが。
余談ですが、だからホラーも好きなものが多いんですよね。大変ピンポイントにやりたい事が判ってるジャンルじゃないですか(笑)。監督によって、心理的な追い詰めやりたい!とか内臓出したい!とか美少女に血糊だ!とかゾンビ萌え〜!とか。
ホラーやピンク映画出身の監督で、のちに大監督になる人が意外に多いのも、なんとなく判る気がするんですが。)

今更言うでもなく予告だけで明らかなんですが、役者の無残さも凄かったです。しばらく物まねが流行りそうな学芸会っぷり。(面白いといえば、だからとても面白い…。)
ずっと頭の中に脚本とト書きが浮かんで、自己フォローしながら見ていました。

例:)
明「うわーーーー」
<明、大事な人に自分のデーモンと化した姿を見られ、空を仰ぎ絶望と悲しみのうめきを上げる>(←脳内補完部分)

なんというか、もしちゃんと感情がともなって発せられたセリフならそんなにおかしくないのかも知れないけれど、棒読みするせいで、自己解釈しないと意味の判らなくなりそうなシーン連発。それに輪をかけて演出が徹底されておらず、見せないことで後で真実に驚くシーンなのか、単にカメラワークから外れてしまって(顔ばっかり映してしまって)何をやっているのか後にならないと判らないのか、という判断に悩む場面も頻繁にあらわれます。
画面の中で、今何に注目させたいのか、それは大事な小道具なのか、などといった演出についてのイロハを逆説的に勉強させられる映画でもありました。

もう突っ込み所ばかりで、キリがないですな。
世界観の大きな地球規模の話なのに、商店街のモニターのボブ・サップのニュースしか世界への窓がないので御町内での出来事レベルに見えてしまうとか、了くんの白タキシードは笑う所ですか?とか、恥ずかしいCGとか、シレーヌあっという間とか〜〜〜。


オリジナル設定の渋谷飛鳥が演じたキャラは、結構よかったです。
原作の呪縛を離れたキャラが、もっとも芯の通った行動をしているという皮肉。絵的にも初代スケバン刑事&一人キルビルみたいで、可愛くかっこよかたなあ。最後の最後に彼女が締めてくれて、かなりほっとしました。

監督:那須博之 出演:伊崎央登/伊崎右典/酒井彩名/渋谷飛鳥 2004年日本作品



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