私の大好き映画サントラ筆頭に上がる『エクソシスト』主題曲<チューブラー・ベルズ>。
携帯を買い換えるたびに真っ先に落としにいく着メロでもあります。
(他の常連着メロが『サスペリア』『ハロウィン』『ポルターガイスト』『ドリームキャッチャー』『ソラリス』とくれば、私の好きな曲のタイプが明々白々に判るというものです…。)
さて、エクソシストシリーズの新作『エクソシスト・ビギニング』。
劇場の予告で何度も<チューブラー・ベルズ>が流れ、この曲を再び劇場で聞けるなんてと感慨にふけったオールドファンも少なからずいるのではないでしょうか。(私含む。)
と・こ・ろ・が!
流れない!一度も!これはもう残念で残念でしかたないです。
エンディングの最後の最後にワンフレーズだけ流れるとか、せめてもそういう粋な使い方をしてくれないものかと希望を抱き続けたのですが、願いは叶いませんでした。
作中半ばのちょっと(かなり)重要な折り返し地点と、ラストにほんのわずかになんちゃってチューブラー・ベルズみたいな曲が流れるのが、せめてもの慰めでしょうか。
私にとって『エクソシスト』は、映画の内容もさることながらあのテーマソングで激しく印象に残っている映画だったので、ちょっとショックは大きかったです。(だって予告で流してたじゃん…。)
内容は、ビギニングとつくからには、過去のお話です。
1作目で、とってつけたようにちらっとメリン神父の過去のアフリカでの戦いが語られていましたね。(冒頭。これはディレクターズカット版だけでしたっけ?)
「メリン神父は過去にアフリカの遺跡で悪魔と戦った事があって、その時は何とか祓う事が出来たが、まだ奴との決着はついていないのだ。」
今回の話はそのまんまです。ネタバレもなにもあったもんじゃありません。
1作目から、メリン神父(神のしもべ)と悪魔の国境を越えた、長きにわたる因縁の争いの系図というベースがあったとは聞いていますが、それは裏設定で匂わせているからミステリアスなんであって、そのまま描かれたのでは、逆にスケールダウンな気分です。
そもそも『エクソシスト』=悪魔祓い師の話なので、悪魔vs神になるのは当然なのですが、キリスト教的な宗教心がないとやはりいまいちピンとこないですね。
『悪魔の棲む家』のように悪魔の仕業らしいけど個人に影響するというか、地縛霊のような悪意としての扱いだと、恐いと思えるんですが。
(やはり心霊の方が恐怖を感じます〜。ジャパニーズ&アジアンホラーの方がよっぽど恐い!)
古代の遺跡に逆さ十字が出た、という事で「なんという冒涜…!」という神を汚された的な恐がり方は出来ないなあ。うわ、ヤバ気だなあ、気持ち悪いなあこれは〜とは思っても。
信仰とは何か…といった面に重点が置かれ、ナチスやイギリスの植民地支配、その上の宗教の争いなどの素材がちりばめられているので、その方面の知識やキリスト教圏の方々が見たらまた印象は違うのだと思いますが、トータルとして面白くなかった…。
いろいろ深読みも出来るんですが、そこまでするには安っぽい映画と感じてしまったので…。
映画として、そもそも恐怖物(オカルト)として成り立ってないに等しいです。
ワクワクした冒険要素のない、クソ真面目な『インディジョーンズ』『ハムナプトラ』、敬虔なクリスチャンの『トゥームレイダー』って感じなんですもん。
日常の中の、ふとした人間の心の隙に悪魔は忍び寄る…そういう恐怖が全然ないんです。
悪魔なのか、心の奥底に生まれてしまった悪意を悪魔と呼ぶのか、または両方が呼び合うのか、そういうボーダーな面白さと深さが、1作目にはあったと思うのです。
それが個人=1人のいたいけな少女(処女)だったから、身近な問題として考えることも恐がることも出来ましたが、今回それが暗喩的にあちこちにありすぎるように思います。
ナチの収容所の被害者とか先住民と軍隊とか。
テーマが分散してしまって、結局本筋はというと…
ヤバい古代の遺跡を発掘したら悪魔が出ちゃった…になってしまう…。
人々の戦いが終わらないのは、皆がキリストを信じないから悪魔がはびこるせいだ、という大変独善的で簡単な話に見えてしまいます。
もちろん悪魔もさることながら、話の核になるのは、信仰を失った神父が再び神を信じる心を取り戻しバチカンに帰る、という感動的といえば感動的(…)な話です。
(ここ数年にも似たようなものを見たなあと思ったら『サイン』……?)
それならそれで、そこに話を集中してくれればよいものを、何もかもが散漫で物語に対して集中力や興味が持てず、途中何度も時計を見てしまいました。
物語を引っ張る最も大きなサスペンスポイントとなるはずの、<誰に悪魔がついているのか>という部分がもうちょっと面白く展開していたら、また印象が違った気もするのですが。
監督は『カットスロート・アイランド』『ロング・キス・グッドナイト』等の代表作を持つレニー・ハーリン。一番のヒット作は『クリフハンガー』。ああう…という気分に。好き好んでホラーを撮る監督じゃないよね。このジャンルに造詣が深そうな過去も見当たらないし。低迷していて「ホラーでもやるしか仕事が」という状況だったとしたら、ホラーファンは怒るよ。
監督:レニー・ハーリン 出演:ステラン・スカルスガルド/ジェームズ・ダーシー/イザベラ・スコルプコ 2004年米国作品
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