つれづれ電影館『か』行


....... 2004年03月記す .......

 
『ゴシカ』
この映画の製作会社ダークキャッスルは、ジョエル・シルバーとロバート・ゼメキスが設立したホラー専門制作会社です。王道ホラーを作るぞ〜という理念で設立したそうなので、B級というのはこの会社の場合誉め言葉。前作は『ゴーストシップ』。
ダークキャッスル作品はどれもいい具合にツボに来て大好きなので、これも期待していた1本。もしや本国アメリカでは、<ハロウィン時期にはダ〜クキャッスル〜>と風物詩になっているのではとも思うペースで新作を発表しています。

という訳で3本目『ゴシカ』です。
これが、想像以上にちゃんとした映画で驚きでした。今までのダークキャッスル作品で最も普通の映画らしい出来ではないでしょうか?趣味としては『ゴーストシップ』も捨てがたいんですが、<その手のホラーファン>向けではなく、ちゃんと一般に向けても見られる作品になっていました。
見世物小屋的な部分を強調するのではなく、ちゃんと普遍的なテーマが入っている。それは人との「対話」と「共感」の大切さ。ホラーだけど見終わった後にちょっと何かしらいいモノが残るという観後感があります。
…だがコレは諸刃の剣なのだな。ダークキャッスルが普通のちょっといい話ホラーを撮っても満足度が低い、という問題もあるのですよね…。ホラーファンからみるとぬるい、一般作品だと思うと程度が低い、という感想になりかねません。ターゲットやボーダーをどこに引くか、がちょっと曖昧な作品になっていたようにも思えます。いい意味でも悪い意味でも、今作はB級ではないのですね。


舞台は女子刑務所・精神病棟。ここで女囚のカウンセリングをしている博士(ハル・ベリー)が主人公。非科学的な事を信じない彼女は、「悪魔にレイプされている」といった女囚達の切羽詰った訴えも「犯罪を起こした良心の呵責が生む妄想だ」としか取り合わない。もちろん彼女達を親身に救おうとしているのですが、そんな高みからの同情が伝わる訳もない。
そんなある雨の晩、帰宅途中の道路に全裸で佇む少女に声をかけた瞬間から彼女の記憶は途絶えます。はっと目を覚ますと、そこは自分の仕事場だった女子刑務所・精神病棟の独房。
彼女は夫を惨殺し、錯乱状態で逮捕され、そこに収容されて3日目になるという。まったく覚えのない出来事に、必死で同僚達に無実を訴えますが、皆同情して治療しようとするばかり。弁護士も、心理の専門家だった彼女の演技の可能性を口にし、誰も本当の話を聞こうともしてくれない。独立無援の状態の中、彼女の周りに起こり始める怪現象…。


冒頭は大変怖いです。霊のビックリもさることながら、気がついたら刑務所、誰も話を聞いてくれないという状況的怖さを、ハル・ベリーが鬼気迫る演技で熱演しています。
ところが、次第に話は意外な展開を迎えます。後半は連続殺人がらみの犯罪捜査物の様相を帯びてきます。よくその手の犯罪物で<まるで被害者の怨念が導いたかのように>証拠が見つかったり、捜査が新たな展開を迎えたりしますが、それをマジで霊を出しちゃった〜という感じ。行きつく先が大変見通し良く見えるので、怖さは捜査の進展に反比例して減って行きます。これは趣味の分かれる所かもしれませんが、私は話としてはこの展開はアリだと思いました。(ただそれで面白いかどうか、という問題は微妙。)
ラストもホラー的でありながら、きちんと物語としての余韻を感じさせるオチになっています。霊も参加の心理サスペンス、といった所でしょうか。まあその綺麗に優等生的にまとまり過ぎている所が、オカルトというカテゴリーで見るならパンチの足りない部分なんですよね…。

出番は少ないながら、女囚役のベネロペ・クルスが大変印象的。あの甘ったるい声と笑顔が、とても怖い。ハル・ベリーと共にノーメイクの体当たり演技で気迫満点。バーナード・ヒルが、男性陣の中ではひときわかっこよかったです。

監督:マシュー・カソビッツ 出演:ハル・ベリー/ロバート・ダウニーJr./ペネロペ・クルス/チャールズ・S・ダットン 2003年米国作品



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