つれづれ電影館『な』行


....... 2004年03月記す .......

 
『ニュー・オリンズ・トライアル』
アメリカの有名な陪審員制度を巡る陰謀と駆け引きのサスペンスなので、ほとんどメインの決戦舞台は法廷(と陪審員室)です。派手なアクションなどはありません。クライマックスも法廷弁論。この真正面さが、法廷物が大好きな私にはまさにストライク。自分的にかなりリピート率の高い映画です。

企業への銃乱射事件が起こり、銃器メーカーが訴えられます。これはコーヒーで火傷したからコーヒーメーカーを訴える、というようなアメリカではよく見られるが、訴えた側が勝訴する確立のほとんどない裁判です。もし勝てば歴史が変わる。そんな裁判の陪審員に選ばれた一人の男を軸に、裁判長、原告、被告、弁護士、陪審員コンサルタントなど多くの人間の思惑が渦巻きながら、話は過去から続く因縁の事件の裏側へと進んでいきます。

序盤から大変な緊張感の心理戦で引っ張る映画です。編集も緊迫したスピーディな切り替えを多用しているので、よそ見をしているとすぐ振り落とされる危険は大。でも実に上手くまとまっているので、ぜひ初見は一時停止や巻き戻しのできない環境で集中して見て欲しい映画です。
大変偏差値の高そうな映画で、さらさらと楽しく見るにはちょっと威圧感があり、人を選ぶ映画かもしれません。クスッと笑ってしまうようなユーモアは結構あるんですが、それも集中して見ているから笑えるタイプのもののような気がします。とにかく集中して真面目に見ないと大変と思わせる、脳のカロリーを相当使う映画でした。
リモコンとか握って見たら駄目です。早送りしたくなるような法廷長台詞も、一緒に陪審員の立場で聞くことに意味があるので飛ばしちゃ駄目ですよ。
三つ巴のゲームのような駆け引きの面白さが売りともいえるので、からくりが判ってしまえば2度目からはノリで楽しめる作品ではあります。しかしアメリカの陪審員制度や銃器問題など、根はかなりの問題定義を含んだ骨太の映画なのではないでしょうか。見返す度にエンタテーメントな楽しさや役者の演技に味を感じるのは、私のオールディーズベストの1本『L.A.コンフィデンシャル』に通じる所があるように感じています。

ところで、設定であれ?と気になる所や、意味ありげに出てきてほとんど意味のなかった人物などもいるんですが、あれは原作にはちゃんと描かれているのに、映画でうまく使えなかったか、そぎ落としそこねた部分なのでしょうか?まだ未読なのですが、原作は法廷モノの定番作家ジョン・グリシャム。この作家の原作映画には当たり外れがありますが、私としては今までで一番スリリングで出来のいい映画だと思っています。


役者はダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマン、ジョン・キューザックなど、大物・くせ者俳優ががっぷり組んで熱演。ダスティン・ホフマンは法廷物が本当に似合いますね。


監督: ゲイリー・フレイダー 出演:ジーン・ハックマン/ダスティン・ホフマン/ジョン・キューザック/レイチェル・ワイズ 2003年米国映画



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