今だ破られない私の自己記録=映画館通い37回は、今作と同じ大友監督の『AKIRA』であります。
やはり今作も劇場で見ておかないと、と劇場に出向いて参りました。
…しかし…感想は厳しいものでございました。今回は…辛い…。何も響かなかった…。
きっといろんな所で誰かが言っているのではないかと思いますが、どうにも見たことあるアニメを繋ぎ合わせたような、新鮮味のない古臭さ。宮崎アニメのような舞台と展開で、うっかり大友アニメだということを忘れて冒険活劇にノリかけたらハズされるという、悪い意味での裏切り感とヌケのなさ…。一般や子供を意識した作りなのかもしれないですが、だったらテーマはもっと明快にした方がいいんじゃないかと思いました。
逆にあのテーマをやるには、お話が絵空事過ぎるんです。キャラの誰にも視点が定まらないし、感情移入も出来ず、素敵だと思う人が誰もいない。名前は記号に過ぎず、最初に話と設定ありきで誰でもよかったかのようです。(それはキャラが立ってない、と言いますね。)
音楽も印象に残らないし…『AKIRA』リアルタイム世代としては残念…。
そして最も私が辛かったのは…背景!
どうしちゃったのパースの鬼大友作品!
違和感のある背景パースのあまりの多さに、気になって気になって作品に集中出来なかったです。これは、逆にキャラや物語にノッていたら気にならないことなのかもしれませんが。すなわち、物語に入りきれず、冷静に見ていたという事の証でもありますね。
機械に書かせたような単純な1点〜2点パースとしては、もしかして正確なのかもしれませんが、人の目による補正が入った3点(〜6点7点と上は限りない)透視がないというか生かされてないのですよ。大友監督自身がそれを理解してないわけないんだから(なんといっても『AKIRA』や『童夢』の方なのだから!)あれはわざと?舞台の書き割り背景みたいにしてみたとか?
下から煽って見ている構図なのに、柱が隅から隅まで画面に対して垂直に書かれていて、ちゃんと真っ直ぐ立っているように見えなかったり、どっちが前でどっちが奥なのかが、騙し絵みたいに瞬間判らなかったり。(コレは冒頭の船の側面とか、足元の板とか、そういう平面な部分の凹凸で顕著だった。)
もうスチームパンクのメカ描写がどうこう言ってる場合でないほど気になりました。蒸気で見えない部分が多いけど、後ろのパイプ群だって変だ。
…メカだのビルだのパイプだのと、パースに関しては大友作品をバイブルにした世代の漫画家としては、どうしちゃったのという悲しみの涙で前が見えない程でした。(泣いてないけど。)
この作品のコンテってそういやどうなってるんだろう?大友監督が逐一書いているなら、なぜあんな事に……。
いろいろと辛い映画でありました…。この上もう声の事までは言うまい。
海外でもあちこちで公開されるようですが、するっと家族で見ることの出来る一作品としては、もしかしてこじんまりまとまっていていいのかもしれません。でも何か、どこか特出した所が欲しかったと思うのは贅沢なのでしょうか。
監督:大友克洋 出演:鈴木杏/小西真奈美/中村嘉葎雄/沢村一樹 2004年日本作品
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