いろいろと評判が悪いらしく、辛口意見にもいちいち納得しますが、私は大好き。
自分的に久々のヒットと言ってもいい位、好きな作品です。
冒頭は黒澤清風、途中からはジャパニーズホラーの影響がキッチリ見えたり、どぎゃん!と脅かし系のホラー演出など、いっそ笑っちゃいそうな部分もありましたが、これはもうホラーの定番という事で、さらっと流しましょう。とはいえ、脅かし系に弱い人にはかなり危険な怖さです。脅かすための前フリの緊張感は相当なものです。
で、それにプラスしてその作品ならではの魅力があれば、○○の影響、などというのは気にしなくていいかなと思っております。(ホラーという特殊なジャンル物として。)
この『箪笥』は、独特の美術と、トラウマ&罪悪感や心理葛藤系のオチを持ってきていて、興味深く仕上がっておりました。
タイシルクのような質感で統一したインテリアや美術が大変美しい。その世界(屋敷)と相反して、まるでその世界の中の異物といわんばかりに、姉妹の衣装は手触りが手のひらに蘇るような、さらさらの木綿系。女になりかかった少女の微妙な体のラインが、木綿越しに感じられるさまは、ときおりドキッとするほどエロチック。
陰影の強すぎるほどに暗い画面の中に浮かび上がる花柄の壁紙など、それすらも登場人物のようになまめかしかったです。
そもそも屋敷や船などの封鎖空間ホラーでは、舞台がちゃんとメインキャラとして描写されている事が、魅力としての絶対条件だと思っているので、それが出来ていればそれだけで私は点が甘いのですよ。そういう作品は根本的に雰囲気作りがうまいのだと思います。
というわけで、映像ひとつ取っても、ヒットした『ボイス』より私は絶対『箪笥』派。
韓国ホラーの枠でくくられていますが、どちらかといえばサスペンス色も強いです。最後の最後まで、人ではない存在が本当にいたのか、あるいはいなかったのかをぼやかして表現しています。同時期に日本公開されていた『友引き』はなあ…。ティーンズホラーオチのラストサマーみたいな雰囲気に、さすがに引いてしまってまだ見ていないんですが。
そういえば『THREE/臨死』の中の一遍、『メモリーズ』の監督さんだったのですね。あれはイマイチでしたが、箪笥は好きです。(撮影や美術さんの力も大きいと思いますが。)
謎解き参加型な作り(あれはどういうこと!?と判らない部分を残してネットなどで盛り上げる作り方、『ツインピークス』や、韓国映画では『カル』なんかがその代表)は、映画としてはどうかと常々批判的に思いつつも、この作品に関してはまんまとはまってしまい、ノベライズまで読んでしまったクチ。映画の中に説明されないままに放置された(というよりはさりげなさすぎて、意味があるのかないのかわからない)伏線がごまんとあるので、気になってしかたなかったんです。(それは映画としてはどうか…とは、私も思うのだけれど。でも繰り返し見れば、一応自分的に理由をつけて納得できるようにはなっています。完全に放り出してはいません。)
「たぶん、こうだと思うんだけど…」という微妙な部分、ノベライズや監督の対談などを見るとやはりソウイウ事(どんでん返しのどんでん返し・オチが2重にある)だったようで、「やっぱり!そう思ったんだ〜」と鑑賞者が一人得意げになるのも、製作者の罠なのでしょう。
そう思うと悔しいんだけど、楽しませていただいたので良しとしましょう。
元になっているのは、韓国では有名な古典怪奇談「薔花紅蓮伝」。継母と姉妹の昔話のようです。因果は自分に帰る…日本で言う所の『山椒大夫』(安寿と厨子王)のようなものでしょうか。
号泣ホラーというアオリはどうかと思いますが、ラストは萌えました…。いろいろと。
ある種、萌える乙女は好きネタじゃないでしょうか?これ。同人誌に使われそ…ゲフンゲフン!
監督:キム・ジウン 出演:イム・スジョン/ムン・グニョン/ヨム・ジョンア/キム・ガプス 2003年韓国作品
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