つれづれ電影館『あ』行


....... 2004年09月記す .......

 
『ヴィレッジ』
話の好き嫌いはあれど、シャマラン監督作は全部見ていますし、好きです。撮りたい絵を判って撮っているという作家性のあるビジョンは、応援したい所です。(その作家性が合わないと全然駄目になってしまうのだと思うのだけれど。)
ということで『ヴィレッジ』。
結論として私は面白かったし、次のシャマラン映画も見に行きますよー。

まずこの話、パクリ疑惑で騒がれていましたが、昔から漫画なりSFなり読みなれている人には<何を今更>というぐらい懐かしい素材なんじゃないかと思います。パクリ疑惑の原作は知りませんが、このタイプの話は一種の雛形としてよくあると思うんだけどなあ。
なので、あちこちで粗筋等読んだだけで大体ネタは割れていましたが、シャマラン監督は雰囲気と映像で独特の時間を体感させてくれる監督だと思っているので、それは気になりませんでした。それに、今回はそういうビックリ系の話じゃないと思うし。
(いったん予測した後、まさかそんなストレートな事は…と裏の裏を読んで見たら、そのままストレートにそのまんまだった、という部分は今回もアリ。そういう意味で驚く事はある。)

最近の宣伝文句<愛>ブームにはげんなりしますが、これは結構愛でした。
でも、裏返しのエゴもえげつなさもてんこ盛り。むしろ平和を壊す最大の計算違いは愛。
あまりに地味にさらりと寓話的な物語として語られていますが、これはえげつない話だなあ。
話のそもそもの発端となった理由は悲しいし、弱い人たちの集まりなんだけど、<弱いから>を免罪符にどこまでもえげつなくなれる大人の物語。むしろその意思の強さは恐ろしい。
もしかしてラストの一発オチから作られた物語にすぎず、深読みは恥ずかしいかもしれないけど、掘ればどこまでも深い所にいけるテーマでもあります。
オチだけなら「世にも奇妙な物語」なんかで20分くらいで出来ちゃう話を、じんわりじんわり2時間弱で語る、その語り口のせいで深そうに見えてしまうあたりが良くも悪くもこの監督 の個性であると思います。あと、変に思わせぶりとも言えるんですが、見せすぎない妙な上品感のある描写の仕方も、私は好きです。(ラストの○○を見せないあたりは、むしろどんな意味があるのか不気味ですらありますが…。)

ただ、<寓話>的に過ぎるというか、キャラクターが記号的過ぎるのが気になる所。
盲目の娘、無口な男、知的障害がゆえに純粋な青年、歴史学者の第一世代…と、物語を語るために配置された人々。
「物語」としてはよく出来ていると思うんですが、そこに人間的な血の通いをあまり感じられなかった部分が残念といえば残念。あまり比べるのもどうかとは思いながらも、最初の『シックスセンス』では、あの親子に泣かされたりしたのですが、そういう感情移入はどこにも発生しなかったのでした。あのビックリ映画『サイン』でも、私的には一番イマイチな『アンブレイカブル』でも、この監督の書く親子関係は結構好きなんですが。
まさに文字どうり、予定調和な箱庭物語であります。

----さて、次は小説原作だそうですが、どんなものが飛び出すやら楽しみです。

監督:M.ナイト・シャマラン 出演:ホアキン・フェニックス/ブライス・ダラス・ハワード/エイドリアン・ブロディ 2004年米国作品



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